矛盾しながらも

 さらなる続き。

 高校生になった私は、迷うことなく吹奏楽部に入部し、サックスを担当することに成功しました。

 本当は中学でやっていた楽器をやらなければならないところを、無理を言ってサックスにしてもらいました。今度こそは譲るわけにはいかない。サックスでなければ意味がない。

 先輩たちからは若干白い目で見られていた気がします。それでもあのときの自分は頑固でした。

 ようやく念願のサックスを吹くことができて大変嬉しかったです。しかしその嬉しさもつかの間、やはり自分はヘタクソなままでした。

 しかも同じパートにめっちゃうまい経験者のメンバーがいたから焦りもひとしおです。

 その人は「中学校の吹奏楽コンクールで金賞だった、でもダメ金だから」と苦笑いしました(ダメ金についてはすみませんが“吹奏楽 ダメ金”でググってください)。いやいや、私の中学なんて銀賞でしたよ(吹奏楽コンクールで銀賞は普通です)。

 おかしい。好きな楽器なのに上達しない。中学の頃よりは楽しめてる感が上がった気がするけど、もっとなんかこう、劇的にうまくなるはずだったのに。

 わからない……。自分の楽器への愛情が足りないせいだろうか? 他の部員みたく、楽器に名前とかつけて愛でないといかんのか?

 今となってはそこじゃねえよ! と思いっきり自分をどつきたい気持ちでいっぱいですが、当時の自分はそんなんでも必死でした。何か間違っているんだけど、何が間違っているのかわからず、悩み続けていました。

 それでも部活はけっこう楽しんでました。高校に入って劇的に勉強ができなくなり(高校受験という目標を乗り越えて燃え尽きたことと、塾に行かなくなったため)クラスではルーズソックスをはいて闊歩するコギャルに引け目を感じて小さくなっていた私にとって、部活はオアシス的な存在でした。もちろん部活メンバー以外でも仲良くしてくれる友達はいたけどね。

 そんなこんなで、高校でも吹奏楽を続け、卒業後就職と同時に市民吹奏楽団へ入団したのでした。

 その後のことはこの記事で書いてます。

 いったん終わり。