自己矛盾

 つづき。

 特にやりたいわけでもなかった楽器を部活で中学三年間続けました。

 学校行って部活の後に夜の9時まで塾という日もあったりしてなかなか大変でしたが、どうにかやってました。若かったからできたのかなあ? 体力あったなあ。

 楽器の方はなかなか上達しません。当然と言えば当然ですね、そもそもやる気がないんだから。でも一応朝練に出てみたりして(続きませんでしたが)、どうにかその楽器を好きになろうと試みたり、この楽器が好きなんだと思い込もうとしたりしました。そうすれば部活はもっと楽しくなるし、上手に吹けるようになると信じていたのです。

 でも現実は厳しかった。自分が下手だということはわかるし周りがうまいこともわかるけど、具体的にどうすればいいのかわからない。先輩は熱心に教えてくれるけどどうもうまくいかない。(前にも書いたけど)この状態は大人になっても同じことでした。

 そのまま部活を続けるのは苦しいだけなので、自分に暗示をかけることにしました。「本当にやりたい楽器じゃないから楽しくないしうまくならないんだ。好きな楽器ならもっと上手になれるはずだ」と。

 本当に好きな楽器とは何か。

 「絶対にやりたいわけじゃないから」と、他の人に譲ったサックスがそれだということにしました。フルートがなぜ除外されたのか自分でもわかりませんがそのことはおいておきます。

 賢明な読者の方はすでに矛盾にお気づきかと思いますが、当時の私はそのことに気づきませんでした。むしろ気づかないふりをしていたのかもしれない。

 高校生になったらまた吹奏楽部に入って、今度こそ絶対にサックスをやるんだ! サックスならがんばれるはずだ! 

 熱い思いを胸に抱いて高校生になりました。

 さらにつづく。