私の頭の中の会話 その5
遊ぶ金欲しさに犯罪をするのはもちろんよくないけれど、遊ぶ金欲しさに働くというのも考えものですね。
「えっなんで? 働くんならいいじゃん?」
いや、あなた自身がそれでつまづいたでしょう。
「ああ……まあ、欲しいもの買ったりしたいから進学じゃなくて就職を選んで、結局今は無職だよね。うん」
まあ、親に高い学費を払わせたくないという気持ちは健気に見えなくもないですが。
「そもそも国公立大学以外は学費高いからダメって言われてて、理系全滅だったからそんじゃー進学は無理だなと。特にやりたいことがあるわけでもなかったから専門学校も考えなかった」
どうしても進学したかったら奨学金という手もあったのに。
「なぜか自分は対象外だと思い込んでいたんだよね。んで詳しく調べようともしなかった。つまりそれほど進学したい気持ちがなかったってことだろうね」
そこで公務員試験に飛びついた、と。
「就職超氷河期に、手堅く就職できて長く働けそうな道、と考えたらそれだと思って」
点取りゲームの類のみが得意なあなたにとって、あれが最後の大きなゲームになりましたね。
「そうだったねえ。これさえクリアしたら、後はバラ色の人生が待っていると思い込んでた」
しかし働くというのはそう甘いものではないわけで。
「本当にね。進学しとけばよかったあああ!!! って何度も思ったわ。進学してもいずれは就職しなければならないんだけどさ」
それでもやはり他にやりたい仕事があるわけでもなく、後戻りも出来ないから働き続けるしかないわけで。
「仕事のモチベーションを上げようとしていろいろやったなあ」
欲しいCD買いまくったり、洋服や化粧品を買いまくったり(ただし貧乏性なので高いものは買わない)、ハムスター飼ったり、一人暮らししてみたり。
「まずは“自分にご褒美”ってやつね。それに生き物を飼えばその子を養うためにがんばろうと思える気がしたんだよ。でもハムスターって飼うのにあんまりお金も手もかからないんだよね」
ものぐさなあなたにとっては飼いやすかったでしょうけど。
「そうね。あと一人暮らしは親の干渉から逃れるためでもあったんだけど、自分で自分を食わせなければならない状況に追い込めば、働く意味が自分の中でしっかりしてくると考えたんだよ」
しばらくはそれでなんとかなってましたね。
「そうしばらくは。しかし長続きはしなかった」
体調を崩してしまって。しかもメンタル的なアレで。
「そうメンタル的なアレ。こういうこと書くとさあ、公務員の仕事ごときでつぶれるとかどんだけ豆腐メンタルだよとか言われそうだから言われる前に先に言っておきたいんだけど、私においてはメンタルもフィジカル面も豆腐過ぎてぐにゃぐにゃだったせいで続けられなかったってのは確かにある。けど他の公務員の人に対してキツく当たらないでほしいなあ。ものすごいハードワークで残業代もろくに出ない部署なんてザラだし、高い意識を持って働いてる人たくさんいるし。公務員と見れば税金泥棒と思うのはほとんど差別だろ」
まあ、その辺でやめときましょう。実際、民間と比べて公務員が優遇されてる面は多いわけで、そこを不平等だと思われてしまうことはどうしようもないですよ。それに公務員以外の人全員から色眼鏡で見られてるってのはあなたの被害妄想だし、そもそもあなたは数年前にとっくに辞めてるわけですし。
「……そうでした」
じゃあもう締めますね。はい、今日はここまで〜。