最終回のエピソードがすでに決まっているマンガと「初音ミクの消失」

 長期連載されているマンガの特徴のひとつに、「作者の頭の中で最終回のエピソードが出来上がっている」というものがある、という話をどこかで聞いたことがあるような気がする。

 なるほど、着地点が決まっていたほうがストーリーを広げやすいから、そういったマンガは長期連載しやすそうだ。

 ところでボーカロイド初音ミク」のヒット曲のひとつに「初音ミクの消失」というのがある。初音ミクがエラーをおこしてうまく歌えなくなり、(パソコンの)ゴミ箱に突っ込まれてアンインストールされてしまう(=消失する)という悲しい内容の曲なんだけど、私はこの曲が大好きでたまらないし、この曲を作ったcosMo@暴走P氏はマジ天才だと思っている。

 初音ミクというのは極端な言い方をすれば単なるキャラクターつきのパソコンソフトであり、いつかは飽きられて忘れ去られてしまってもまったくおかしくはない存在だ。

 けれど以外にも初音ミクブームは続き、発売からすでに5年以上経っているにも関わらず、その盛り上がりは目を見張るものがある。

 このことと、「初音ミクの消失」という楽曲の存在が無関係とは思えない。

 最終回が決まっているマンガほど長続きしやすいように、初音ミクが“消失”するときの情景を描いた楽曲(=最終回のエピソード)がヒットしたことで、ユーザーやリスナーの頭の中に初音ミクという存在がいつ消えてもおかしくはないというあきらめとか覚悟みたいなものが芽生えたのではないか。いつ消えてもおかしくない、だからこそ今のうちに初音ミクをたくさん楽しんでおきたい、少しでも長くボカロ周辺を盛り上げたいという気持ちも生まれ、それがボカロ楽曲制作や関連曲・グッズ消費という行動につながっているのではないだろうか。

 ひとつの仮説としてそんな考えを持ってみたので書いてみました。終わり。


sm7902754 【PV完全版】 初音ミクの消失 DEAD END 【MotionGraphics ...