私は頭が良くない

 私は頭が良くない。良くないというより、悪いといってしまったほうがぴったりくる。それくらい悪い。

 自分でも信じられないほど記憶力が低く、理解力が乏しい。文章を書くことだって上手じゃない。好きだからこうして書いているけれど。読むのも実は得意じゃない。

 飽きっぽく、すぐ疲れる。切り替えが遅い。ストレス耐性はものすごく低い。

 そんな私が、かつては公務員をやっていた。高卒で就職を希望して、公務員試験に受かったから喜んで勤め始めた。けれど仕事は恐ろしく難しいものだった。どんな仕事だって難しさはあるだろうし、世間ではお役所仕事なんて言われるくらいのものだけど、公務員の仕事は私にとっては難解なことが多すぎた。

 頭が悪くてストレスにも弱いくせに、無理して仕事を続けていたら、限界がきて心身に支障をきたし、退職した。あれから4年以上経った今、辞めることができてよかったと思っている。

 私が死相を浮かべながら通勤したあの庁舎で、優秀な人はバリバリと、そうでもない人はそれなりに、仕事をこなしているのだろう。そこに私が居る必要はなかったのだ。

 さて、繰り返すけれど私は頭が悪い。

 公務員になれたのは、試験に合格できたから。

 高校時代に落ちこぼれなかったのは、得意な科目でならテストで高得点が取れたから。

 中学時代に落ちこぼれなかったのは、指導が厳しい学習塾に通って、点取りゲームに勝つ(=テストで高得点を取る)方法を得ることができたから。

 小学生時代に優等生扱いをされたのは、先生に媚びるのがうまかったからだろう、たぶん。

 本当は頭が悪いのに、それをひた隠しにして生きてきた(周囲にはバレバレだっただろうけど)。自分でも認めたくないばかりに現実から目を背けてきた。

 でもいい加減、認めなければならない。

 頭は悪くても、自己肯定感を損なわず、周りのことも極力傷つけずに生きていく方法を探して身につける必要がある。